誰かの為のブログ

映画や本の感想をだらりだらりとマイペースに書いていきます。

【感想】生きたい。だた生きて国に帰りたい。 クリストファー・ノーラン 「ダンケルク」

 

1940年、フランス北部ダンケルク。英仏連合軍40万人はドイツ軍によって追い詰められていた。迫り来るドイツの包囲網から40万人を救うための作戦が展開する。

 

ストーリーは実話に基づいたもので、3つの視点・時間軸に分かれて進行する。

1つは救助を待つ英仏連合軍。救助が来るまでの一週間を若い兵士の目線で描く。一刻でも早くこの地から離れたい、国へ帰りたい。兵士たちのひしひしとした思いが手に取るように伝わる。

 

もう1つは救助に向かう民間の遊覧船。父と息子、その友達。ドーバー海峡を超え、ダンケルクへ向かう。自分たちの世代が始めた戦争を、若い世代だけに任せるのではなく、自分の手で終わらせたい。そのためにも微力でも助けになりたい。そうした決意で父は船を走らせる。ダンケルクまでの1日の出来事を描く。

 

最後は戦闘機乗りの一時間。幾多の戦闘を繰り返しながらダンケルクへ向かう。三機編成のその編隊は次第に数を減らしていく。空中戦は迫力満点で手に汗握る。

 

3つの時間軸は収斂へと向かっていく。

 

国へ帰りたいと必死に願い行動する兵士や、そのために微力でも自分のできることをする人、課せられた役割のため自分を犠牲にする人。この救助劇には、顔の見えるたった一人の英雄ではなく、顔も名前も分からないまま散っていった数多くの英雄が存在するはず。

 

前編を通して映像がとても綺麗。映画冒頭主人公がダンケルクの浜へ抜けるシーン。そこには救助を待つ大勢の連合軍。少しの希望を滲ませつつも諦めの漂う浜が広がるのが印象的だった。